安倍政権を支える「ネット世論」の害悪。
宮崎謙介、武藤貴也、上西小百合…
なぜ公募議員はクズが多いのか?
人材不足の最たる分野が「政治家」だった。
作家・哲学者の適菜収が「安倍政権の無能と欺瞞」を討つ批判の毒矢
ネットでは自分の世界観を補強してくれる情報をピンポイントで集めることができる。こうして知的に武装することで、万能感、自己肯定感が高まっていく。過剰な情報により、世界がますます狭くなる。こうしてネットではバカがより凝縮されたバカになり、より居丈高になっていく。
結果、書籍の口コミサイトでは、読まずに書いたとしか思えないコメントが並ぶようになり、グルメの口コミサイトでは、ロクでもない料理屋が上位にランクインし、真っ当な店はどこの誰かもわからない奴に誹謗中傷される。そもそも、こうしたレビューを投稿しているのは、平気な顔をして料理の写真を携帯電話で撮るような連中だ。「ネットの声」など、この程度のものである。
ウォルター・リップマン(一八八九~一九七四年)は、ジャーナリズム論の古典『世論』でこう述べる。
「公共の事柄に対する意見は社会の正常な成員によるものだけではないし、また選挙、宣伝、支持者集団のためには数が力となるものであるから、注意の質はなおさらに低下する。読み書きのまったくできない人たち、精神薄弱者たち、たいへんに神経質な人たち、栄養不良の人たち、欲求不満の人たちからなる大衆の数は相当に大きい」
こうした連中を扇動し権力を握るのがデマゴーグであり、それに類する政治家だ。リップマンは世論や民意を利用する政治家を警戒した。
「なぜなら、あらゆる種類の複雑な問題について一般公衆に訴えるという行為は、知る機会をもったことのない大多数の人たちをまきこむことによって、知っている人たちからの批判をかわしたいという気持から出ているからである」(同前)
情報は操作され、制限され、屈折する。複雑な事象は二項対立に落とし込まれ、判断能力が欠如した人々に呈示される。